ごあいさつ
みなさまこんにちは。整形外科の小野孝一郎です。私の担当は脊椎外科です。 わたしは内視鏡を中心に低侵襲脊椎外科の治療を得意としております。
内視鏡を中心とした低侵襲脊椎外科治療
脊椎外科の代表的疾患について外科的治療法を中心にお話させていただきます。 まず腰椎椎間板ヘルニアです。ものが飛び出すことをヘルニアといいますが、腰の椎間板が飛び出して神経に刺さって坐骨神経痛を生じます。ほぼすべてのヘルニアは内視鏡で切除可能です。術後は麻酔から覚めれば歩行可能となり、翌日または2日後に退院可能となります。
多くの方が一生に一度は経験する腰痛ですが、その殆どは原因がわからないことがおおく、漫然と薬やリハビリが繰り返されている方もいらっしゃるかもしれません。原因不明の腰痛もブロックなどで腰椎椎間板症と診断できれば、内視鏡治療可能となる方もいらっしゃいます。
近年、腰部脊柱管狭窄症を患う方が非常に増えております。症状としては、たとえば5分歩くと腰脚のいたみのため一休みしないといけなくなる間欠性跛行や頻尿や残尿感などの膀胱直腸障害を生じることで、日常生活に障害をきたします。この腰部脊柱管狭窄症も内視鏡で治療できる場合もあります。背骨がずれる変性すべり症を生じ矯正固定術が必要な方にも、内視鏡を用いて体への負担少ない治療を適応しておいります。
その他にXLIFという脇腹から背骨にアプローチして行う術式もこれまで困難であった多くの病態を体への負担を抑えつつ治療することができるため、積極的に行っております。
また腰椎圧迫骨折は骨折した背骨に骨セメントを詰めるBKPと言われる術式を採用しております。骨がつくまで何週間もベットで寝て待つしかなかった腰椎圧迫骨折も体への負担が最小限に抑えられたBKPにより、早期に痛みから開放され日常に戻ることができます。
次に頚の疾患ですが、頚椎椎間板ヘルニアによる上肢痛や頚椎椎間板症による頚部痛、さらに頚髄症のよる手足の運動障害の改善を目指します。頚椎椎間板ヘルニアに対しては後方から内視鏡を挿入し、ヘルニアを切除することができます。痛みが取れるまで待つしかなかったヘルニアが内視鏡により数日の入院で治療可能となっております。頑固な後頚部痛の原因となる頚椎椎間板症はブロックなどで診断し、傷んだ椎間板を取り除くことで痛みの改善が期待できます。また頚髄症は中枢神経である脊髄が圧排され脳からの信号がうまく伝わらなくなり手足の運動が障害される病態です。こちらは1,2箇所であれば頚の前からアプローチし、たくさん障害部位がある場合は後ろから神経のトンネルを広げる手術を行うことで改善が期待されます。
さいごに
以上、簡単ではございますが、当院で可能となった脊椎治療について紹介させていただきました。みなさまのQOLの高い生活を維持するための助けになればと考えております。よろしくお願いいたします。